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色々な釣り方のある鮎釣り
狩野川の釣り-01P 94q

釣りは釣り師と魚の知恵比べです。その点で川釣りの双璧は、岩魚(いわな)釣りと鮎釣りと言われます。一般には渓流釣りは岩魚が一番面白いと言いますが、鮎釣りには釣り方に色々の方法があるので、それぞれの楽しみ方があり、奥深いのです。

鮎は年魚とも言われ、一年で一生を終えます。河口付近で孵化した稚魚は、成長するにつれて川を遡り、秋に産卵のため川を下ると言う一生です。春になって水温が上がると卵は孵化して、稚魚となり、しばらくの間、餌となるプランクトンの豊富な河口流域にとどまります。更に水温が高くなると、餌の苔を求めて川を遡上し始めます。

若鮎が川の中流域にたどり着く頃には、10センチ前後の鮎に成長し、水中の昆虫なども食べますが、好物は川底の石に生える苔です。鮎が生息する川底の砂利をよく観察すると、石の苔に筋が着いているのを見ます。注意深い釣り人は、石に着いた苔の筋を見て、この付近は鮎の魚影が濃いなどと言います。

清流を好む鮎は環境変化に弱いので、戦前から魚資源保全のため鮎の禁漁期間はかなり厳しく励行されていました。関東地方の河川では、鮎漁は六月に漁解禁になります。鮎釣りの太公望たちは解禁の前日の真夜中に河原に詰めかけて、夜が明けるのを待って釣り糸を垂らします。

遡上する鮎を釣る方法は、囮鮎(おとりあゆ)を使う「とも釣り」、毛針を使う「どぶ釣り」、長い釣り糸に多数の針をつけて川の瀬を上る鮎を引っかける「転がし釣り」(ゴロタとも言います)などがあります。秋になって産卵のため川を下る鮎は、落ち鮎と言って梁(やな)を設けて採る「梁漁」があります。

鮎は成魚となると、川底の一定の区域を自分の縄張りとして、他の鮎が侵入するのを排除しようとします。この縄張り争いの習性を利用したのが「とも釣り」でして、鮎釣りの中では一番おもしろいと言います。先に陣取っている鮎の縄張りの中に囮の鮎を投げ入れると、陣取っていた鮎は、囮の鮎を追い出そうと体当たりします。その瞬間に囮鮎の尾ひれ付近に流してある針に引っかかり釣られてしまいます。鮎の闘争心を利用した、やや手の込んだ釣り方です。

「どぶ釣り」は毛針を虫に見せる騙し釣りです。用心深い鮎は、周囲に人影があると騙しに乗りませんので、「どぶ釣り」では釣り人は影を川面に見せないことが肝要です。そのため長い繋ぎ竿を使い、毛針をつけた糸を垂らして、ゆっくりと竿を上下させて鮎を誘います。「どぶ釣り」のコツは川底の形状や水温の変化に合わせて毛針の種類を変えていき、鮎の好みの毛針を選ぶことです。ですから「どぶ釣り」の釣り師は、数十本もの毛針をケースに入れて持っています。

「転がし釣り」は、川の瀬を遡上する鮎を沢山の針をつけた長い釣り糸を川の流れに沿って上流から下流に釣り糸を回転させながら流す釣り方で、釣り人が強引に遡上する鮎を引っかける釣り方です。「とも釣り」や「どぶ釣り」が詐欺師のような知能犯だとすれば「転がし釣り」は強盗犯みたいな荒っぽい釣り方です。

写真は伊豆の狩野川で「とも釣り」をしている釣り師たちです。大勢の釣り師が川に入って釣っていますが、用心深い鮎も縄張り争いに夢中になると、釣り人の人影を忘れるのでしょう。見ている間に次から次と鮎は釣り上げられていました。
(以上)
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【2020/06/13 19:24】 | 発見する | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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