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蝋燭の炎
                    六郷-37P 97

蝋燭(ろうそく)の光は暖かく感じます。電灯に比べて蝋燭に暖かさを感じる理由は色々あります。炎には熱のイメージがあるから暖かく感じる、或いは炎の揺らぎが暖かさを与える、或いは、そのような心理的な理由ではなく、炎の色が赤みを帯びているから暖かく感じるなどです。

人類は熱と光を太陽から与えられて生きてきました。太陽からの熱と光なしに人類は存在出来ないので、あらゆる宗教の根源には太陽への畏敬と感謝の念があります。拝火教として有名なゾロアスター教は、人類最古の宗教であり、その後の全ての宗教が説く善悪二元論はゾロアスター教から受継いだものです。

地上の火は太陽の代理人であり、人類は火を生活の実用に使うようになっても、火に対して特別の宗教感情を抱き続けました。それは現在の宗教で祈りの場所で蝋燭を灯すことで分かります。

キリスト教のミサでは蝋燭を灯すことが義務づけられていますし、祈祷では灯した蝋燭を手に持って礼拝に参加します。仏教でも法事のとき仏前への蝋燭点灯は焼香とともに欠かせない手続きであり、神道でも神道禊教(みそぎきょう)の祭祀では清浄を保つため必ず蝋燭点灯が行われます。

夫々の宗教で蝋燭の灯火について意義づけは異なりますが、灯火は闇から光の世界への象徴であり、絶望から希望への印であり、祈りの場の浄化になるからでしょう。

蝋燭の製造については日本は独自の歴史を持っています。蝋燭は奈良時代に中国から伝わったと言われますが、日本では蝋燭は櫨(はぜ)の実から採取された原料で作られてきました。

櫨から作った蝋燭は和蝋燭と言われ、パラフィンを原料とした洋蝋燭よりも、灯の光は強くて明るく、それに長持ちするそうです。和蝋燭は洋蝋燭より油煙が出ないので、祭場の金箔や金属器に悪影響が少なく、寺社では重用されています。

和蝋燭は原料の櫨の採取に手間がかかり高価なので、いま一般に使われているのは洋蝋燭です。和蝋燭は地方で工芸品として少量生産されています。

嘗て白川郷を訪ねたとき、岐阜県飛騨の古川で三嶋和蝋燭店に立ち寄り、生産現場を見学しました。そこでは色も形も色々な蝋燭が作られていました。和蝋燭は融点が低く、直接手で扱える程度の熱さなので、蝋燭は殆ど手作りだそうでうす。

他方、洋蝋燭は少数の企業が大量生産しています。その洋蝋燭にも善し悪しがあるそうです。蝋燭が燃えていくとき芯が斜めに傾く蝋燭は、炎が一定の大きさに保たれて安全だそうです。芯が垂直に立ったままの蝋燭は、炎が大きくなり過ぎて燃焼が不安定になり良くないそうです。

最近は、宗教上の儀式以外でも蝋燭は復活しているようです。レストランなどでは高級感を出すため電灯を暗くしてテーブルに蝋燭を灯すところもあります。誕生日にケーキに蝋燭を立てて吹消す祝い事も健在です。災害時に備えて蝋燭を備蓄する家庭も増えています。

それでも、やはり蝋燭は精神的な装飾に向いています。東北の街角でお地蔵様に備えた沢山の蝋燭が灯っているのを見て、人々の信仰の厚さを感じました。
(以上)
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【2013/04/07 14:46】 | 文化 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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