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文明の衝突と伝播 現代の課題
文明は永遠に続くものではなく何時の日か消滅するものですが、同時に文明は伝播し普及するものです。伝播して広く受け入れられて普遍性を獲得した文明は、優れた文明と云えます。

このようにして普遍性を獲得した文明としては、西洋ではギリシャ、ローマ文明がありますし、西アジアではメソポタミア文明がありますし、アジアではインド、中国文明がありました。

文明圏の拡大には、受け入れ側が征服されて強制的な場合と、征服を伴わず受容が自発的な場合とがあります。いずれの場合でも人々がその文明の価値を受容して、初めてその文明圏は拡大しました。

日本は、古くは随、唐の文明を受け入れ、近くは西欧の近代文明を受け入れましたが、両方とも自発的に他の文明を摂取しようとするものでした。日本は途中で遣唐使を中国に派遣するのを廃めましたが、その頃には唐文明が衰退し始めて、導入するに値しないと日本人が考えたからです。

明治政府は政権樹立直後のあわただしい時期に、政府首脳自らが大挙して長期間にわたり欧米の経済社会を視察するために岩倉使節団を派遣しました。外国文明の摂取に関しては、明治時代の日本人は、奈良時代、平安時代の日本人に劣らず熱心でした。

ドイツの哲学者シュペングラーは、20世紀初めにアメリカとロシアの台頭を予想して「西欧の没落」を書きました。スペインの哲学者オルテガはその著書「大衆の反逆」で過去3世紀間にわたるヨ-ロッパの世界支配は終わりに近づいていると論じました。前世紀初めに、西欧の知識人は西欧文明の全盛期は終わりつつあると予感していたのです。

一般的に言って、文明の隆盛期には文明圏は武力を背景にを拡大する傾向があります。また文明の衰退期には、その文明圏は侵略されて滅びるか、他文明により摂取されて消滅します。18世紀に世界に先駆けて産業革命を実現した西欧社会は、武力で中近東とアジアを植民地として西洋文明の支配下に置いたのです。

現代は、アジアなどの非西欧文明が興隆する兆候を示しています。そのことをオルテガは「略奪されるヨーロッパ」と表現しています。嘗て他文明を略奪した西欧文明は、今や逆に非西欧文明に略奪されつつあるというのです。

イギリスの歴史家トインビーによると、世界の文明は、発生、成長、衰退、解体を経て交代すると述べています。そしてアメリカの歴史学者ハンティントンは、21世紀は文明の衝突の時代だと論じました。そして文明と文明が接する断層線での紛争が激化しやすいのが今世紀であると指摘しました。

ハンティントンは、具体的にキリスト文明とイスラム文明との間に武力衝突が起こることを予想しています。文明間の折衝では、支配・被支配だけではなく、抱擁・吸収で終わることもあります。しかし、抱擁・吸収が起こるのは、文明を受け入れる側に与える文明を栄養として吸収する態度と能力が必要です。

複数の文明が相互に干渉することなく存在し得たのは可成り昔のことであり、現代は狭い地球上に幾つかの文明がせめぎ合っています。文明は強大なようですが壊れやすいもので、一旦壊れると再起不能な打撃を受けるものです。

そうであれば、尚更狭い地球に存在する文明は相互に理解し合い、寛容になることが大事です。今日ほど異なった文明が共通の価値観を持つことが必要な時代はありません。文明間で抱擁・吸収が進むよう努力して欲しいものです。武力で自己の文明を押しつけることは、それ自体が野蛮(非文明)なことなのですから。

下に掲げた写真はトルコ国内にあるユーフラテス川の源流を訪ねたときのものです。この川はトルコ東北部に源流を発してシリアを通過しイラクでチグリス川と合流して、ペルシア湾に注ぐ川です。世界四大文明の一つ、古代メソポタミア文明が栄えたのは、この川の流域でした。

イラクでの紛争が沈静しないまま、続いてシリアで内戦が起きている現状をみると、文明の衝突と伝播は人類の永遠の課題であるようです。
(以上)


                       ユーフラテス川-01Nh Nadbe r
                       トルコの東北部を流れるユーフラテス川
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【2013/02/13 20:34】 | 文明 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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