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西欧の都市美は古さにある

江戸から東京までの都市空間の変化は本当にものすごいものです。それは、近代化という名の劣悪化でした。東京オリンピックに備えて市街地中心部に高速道路を張り巡らしたとき、劣悪化の頂点に達しました。空から東京を見た外国人はまるでスパゲッティを撒き散らしたような街だと評しました。

日本より早く工業化が進み人口集中が起こった西欧諸国の首都でも、19世紀に河川は汚染され街路はごみ捨て場になり伝染病が流行るという経験をしています。
しかし、パリやロンドンでは、百数十年も前に都市構造の改革と都市環境の整備を完了し、今日の整然とした都市に変えました。この間の西欧主要都市の変貌はすざましいものであったと想像します。

そして私たちが最も感心するのは、都市の改革と整備を進めるなかで、彼らが伝統と文化の維持に大変な努力をしたことです。便利さを求めて古いものを壊し新しいものを建てるということは極力避けています。

現在でも、由緒ある歴史的建造物は用途を終えたあとでもその姿を残し、それを再利用する努力を彼らは怠りません。古い建築物の改修は建て替えより費用がかかりますが、それでも都市の記憶を表現するために残すのです。

パリのオルセー美術館は駅舎を改装したものであり、ロンドンのテート・モダンは火力発電所を改装したものです。共に建物は原型をとどめて既存の機能も生かしています。そのような大型建築物だけでなく、ロンドンのイーストエンド地域では、嘗て産業革命の担い手だったドッグ、倉庫、煙草取引所などが、そのままの姿でヨットハーバー、商店街、スーパーとして使われています。

一世紀余りの隔たりはありますが、西欧首都の都市美回復の百年余の歴史と、東京の都市美崩壊の百年余の歴史とを比較して、これは石の文化と木の文化の違いだとして片づけられないものです。

東京の都市美の回復には、江戸時代の東京の姿を思い浮かべ、百年の計をたてる必要があります。
(以上)
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【2006/08/19 10:27】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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