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イザベル・ユペール展

今、珍しい形式の写真展が東京都写真美術館で開催されています。(開催期間 2006.7.1~8.6) それは、大勢の写真家が一人の女優を撮影したポートレート写真を一ヶ所に集めた写真展です。

一人の写真家が或るテーマで撮影した写真を展示するのが普通ですが、今回のように被写体は一つでありながら、写す人が大勢という方式ですと、否応なく写真家の表現力が比較されます。更に、被写体がイザベル・ユペールという有名な性格女優であることも、大いに写真展を盛り上げています。

この写真展の副題が ”Woman of Many Faces ”とあるように、会場のどの写真を見ても女優の表情と姿態は大きく異なります。女優の演技力と写真家の演出力で創り出す表情と姿態の変容は、誠に多彩です。

以下に印象に残った写真について、写真家別に感想を述べてみます。

Peter Lindbergh
二枚の写真は全く異なる性格をイザベルに与えています。
1.2002(数字は撮影年、以下同じ)
体の力を抜き椅子に腰掛けるイザベルは、何を沈思するのか項垂れて悲しげです。比較的広い面積をもつ黒いバックは、その悲しみを深めています。
2.2001
胸から下のワンピースに身を包み、両腕を組み、顎を突き出して立つイザベルは、蔑むような視線を送ります。知的ではありますが、どこか高慢な性格を表現しています。

Karin Rochall 1990
煙草をくわえて力なく向けるイザベルの流し目には、何処か退廃的な雰囲気が漂います。

Robert Doisneau
三枚の写真はそれぞれ表情が異なり興味ある作品です。
1.1985
酒場で一人椅子に座り、振り向きながら視線をあらぬ方向に向けているイザベルには男の気をひく色気があります。
2.1985
路上を歩きながら何かを見詰めているイザベルの顔には幼い蔭があり、少女のようです。
3.1985
酒場のカウンターでマスターに酒を注がせながら、マスターの顔を凝視するイザベルの目には中年女性のあざとさがあります。

Henri Cartier-Bresson 1994
黒い長袖のブラウスを着て、腕を頭の後ろで組み、視線をこちらに向けるイザベルは、放心した表情です。イザベルの上半身は黒い長方形にまとまっており、彼女が座るソファー、入り口の扉、壁にかかる額などはすべて大小の長方形で対応しており、画面にリズムを与えています。写真の構図を重視する決定的瞬間の写真家ブレッソンらしい写真です。

Juergen Teller 2001
短パンと袖無しブラウスのイザベルは、ソファーの上で片膝を曲げ、その上にもう一方の脚を載せています。片手を自分の太ももの間に、もう一方の手でクッションを抱えたイザベルは、妖艶な視線をこちらに向けています。姿態とまなざしは挑戦的です。

Patrick Faigenbaum 2005
二枚のポートレイトは、両方共に虚脱した表情のイザベルです。これが彼女の地の顔と思えるような自然の表情で、よく言えば人生を達観した顔、悪く云えば全てを否定する虚無的な顔です。

Philip-Lorca DiCorcia 2004
一枚は男とは別の明るい部屋にいるイザベル、もう一枚は大きな花々が映るガラス戸の前に立つイザベル、この二枚の写真は、明暗の違いはありますが、共に別の世界から来たイザベラを表現しています。そうすることでイザベラの持つ神秘性を表現しています。

まだ外にもRichard Avedon,Helmut Newton,Robert Franc,Herb Ritts などの有名写真家の作品が沢山出品されています。

この写真展は2005年11月ニューヨークを皮切りにパリ、ベルリン、マドリード、東京と巡回していて、これからも世界巡回は続くという人気のある写真展です。一度に多くの世界的写真家に巡り会える珍しい写真展です。
(以上)


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【2006/07/16 10:32】 | 写真展 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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