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写真展「アフリカ」を見て
いま東京都写真美術館でセバスチャン・サルガドの写真展「アフリカ」が開催されています。(2009.10.24~12.13)

写真展会場に入ると、次から次へと大画面のカラー写真でアフリカの様々な現状が、これでもかこれでもかと迫ってきます。これ程強烈な迫力のある写真展を最近見たことがありません。

サルガドは経済学者から報道写真家になった変わり種ですが、それだけにアフリカ社会が持つ病弊への関心が強く、また着眼点も鋭いのです。この作品展も彼がいま挑戦中の最大のプロジェクト「GENESIS(起源)」の作品群から選んだ100点を展示したものです。

戦争と饑餓に苦しむ人々の大画面の写真の前に立つと、アフリカ(主としてザンビア)が直面している悲惨さに、観客の心は占領されてしまいます。写真の殆どは、その悲惨さを正面から見据えたもので、斜に構えたり思わせぶりの写真はありません。

写真の持つリアリズムというのはこれ程までに厳しいのか、と立ちすくみます。言葉では表現できない様を「筆舌に尽くし難し」と云いますが、これらの写真は正に文章や言葉では表現しようもありません。

報道写真というと兎角告発型やセンセーショナルな写真になるのですが、サルガドの写真は事実を事実として克明に描写するだけです。それでいて、画面構成が美的にも優れているので、写真を通して厳しい現実を見る人に与える印象が尚のこと強いのです。

例えば展示会場で配られた解説ペーパー(下に掲載)に載っている写真をご覧になれば分かるように牛の巨大な二本の角は、左端の人が立てている二本の棒に対応して画面にリズムを持たせています。

このようにサルガドが単なるドキュメンタリー写真家でないことは、展示された写真の中に砂漠の美しさを捉えた数枚の写真を見れば良く分かります。厳しいアフリカの撮影現場にいても、砂丘と太陽光が造り出す造形美を見逃さないのです。

見終わってからも、興奮がさめやらぬ写真展です。
(以上)

                         パンフレット:写真展アフリカ-01D 0911qc
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【2009/11/20 20:19】 | 写真展 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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