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旅のコレクション展 第二部「異郷へ」
東京都写真美術館では、「旅」をテーマに三回シリーズでコレクション展を開いています。第二回は「異郷へ」という題名で、1970~80年頃に発表された戦後世代の日本の写真家達の作品が展示されています。

展示されている写真家は、内藤正俊、秋山亮二、土田ヒロミ、牛腸茂雄、荒木経惟、森山大道、須田一政、柳沢信、北井一夫の9人です。これらの写真家の作品は、旅して撮った写真という意味でくくられていますが、内容的は同時代という年代でくくった作品展です。

「異郷へ」というテーマも地理的異郷から心理的異郷までを含み、作家毎には纏まりはありますが、9人の写真家の作品が「異郷」という意味で共通点がある訳ではありません。「旅」「異郷」という意味での共通した批評は無理です。展示会の題名の付け方に無理があったと思います。

従って、以下では個性的な作家の、興味ある作品について鑑賞し、感想を述べることにします。

先ず、牛腸茂雄の写真に惹かれました。普通は見過ごしてしまう日常生活の何気ない風景の中に、一瞬、人間の情感を表出した情景を捉えた写真に惹かれるのです。

一本の立て看板を支える母とその棒に抱きつく子供が居て、その横では地面に横たわる看板をかがみ込んで読む男が居る写真(作品52)、及び飛行機に乗ろうと大きな花束を抱えて機首に走る一人の男と、同時にその遠方には機尾から乗ろうと急ぐ三人の女を写した写真(作品56)は、作品の焦点が鮮明です。

次に注目したのは、森山大道の北海道旅行の写真です。これらは、撮影に行き詰まって旅に出た森山大道が、新境地を開いたと言われる写真集です。アレ、ブレ、ボケの手法も有効に使われていて、絶望と孤独の心境を北海道の風景に託した写真です。

鉄路に向かって走る二人の少年(作品77)、ローカル線の停車場で乗り降りする乗客達(作品80)、地面の雪を掃き散らしながら走る函館の路面電車(作品82)、廃墟と化した石狩の冬の海水浴場(作品87)、一本道を振り返りながら歩く野良犬一匹(作品89)などが印象に残りました。

その他の作家たちも当代一流の写真家ですから、優れた作品が数多く展示されていました。しかし私の個人的な趣味ですが、作意や仕掛けのある作品よりは、自然の人間の営みの中に思わず発見する人情や情感の表出を捉えた作品に惹かれました。
(以上)
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【2009/08/07 11:25】 | 写真展 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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