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日本車のデザインは何故冴えないのか?
乗用車はアメリカで生まれ、ヨーロッパで洗練され、日本で効率化されました。遅れて参加した日本の自動車産業は、効率的な生産と経済的な製品でアメリカとヨーロパの市場に進出し、その地位を確立しました。

安くて丈夫でガソリンを食わない日本車は欧米で、それなりの評価を得ましたが、自動車のデザインに関してはヨーロッパに敵いません。日本のメーカーはヨーロッパ人のデザイナーを採用して乗用車を生産しますが、それでもデザインでヨーロッパを凌駕するのは依然として難しいようです。

舌が肥えた人々のいる国の料理は、一般的に美味しいと言います。料理の味の善し悪しは、料理人の腕よりは食べる人の舌で決まるからです。需要の質のレベルが高いと、供給はそれに合わせて高くしなければならないのです。

自動車のデザインについても同じことが云えるのでしょう。日本人が自動車に求めたのは、安くて丈夫でガソリンを食わない車でした。そして、供給者であるメーカーは見事にそれに応えました。

料理の例を自動車に当てはめるなら、日本の乗用車のデザインが冴えないのは、日本人がデザインの良い乗用車を求めないからです。そして、ヨーロッパの乗用車のデザインが洗練しているのは、彼らが車のデザインに対して高い要求を持っているからです。

イギリスの高級車ジャガーの創設者、ウイリアム・ライオンズは、大衆車のシャーシーに高級感のある車体を換装した「オースチン・セブン・スワロー」という乗用車を販売し、見事ヒット商品にしたと言う話は有名です。(末尾の写真)

彼は「美しい物は値段が高くても売れる」という哲学の持ち主でしたから、大衆車の車体にコストをふんだんに掛けて豪華に見える乗用車を造ったのです。走るだけの自動車でなく、着飾る自動車は高くても売れました。ヨーロッパ市場にはデザインで車を買う人々が大勢いるのです。

アメリカでは西部開拓のためには馬車が必需品でしたから、自動車は馬車の代用品として生まれました。西部開拓まで遡らなくても、アメリカのように広大な国土では交通の手段として自動車は必需品でした。

多くのものを運ぶこと、速く遠くまで走ること、アメリカ人が自動車に求めたものはそれでした。最初に大量生産されたT型フォードは運転席の前に長いエンジン部分があるのは、馬車のデザインを借りたのです。座席を圧縮して後方の荷台部分を大きくしたのも、馬車の発想です。

その後、流線型のデザインが取り入れられて進化はしますが、総じて車体が大きく、積荷スペースが大きいのも、自動車に実用機能を期待し続けたからでしょう。

自動車について実用機能を重視したアメリカに対して、初期のヨーロパでは自動車は貴族の趣味として愛用されたということです。「美しい物は値段が高くても売れる」というライオンズの哲学もそこから生まれたのでしょう。そう言えば、ロールスロイスやジャガーなどの高級車が、階級社会のイギリスで誕生したことも合点がいきます。

日本で良いデザインの自動車が生まれないのは、日本人の趣味がわるいからではなく、貴族社会がなかったからと思って自らを慰めることにします。
(以上)

                       イギリス:ジャガー(オースチン・セブン・スワロー・サルーン)
                    ジャガー:オースチン・セブン・スワロー・サルーン
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【2009/06/13 11:21】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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