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江戸切子の美
     墨田江戸切子館-04D 0902qr

                       墨田江戸切子館-02D 0902qr

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江戸時代、ガラス細工のことをビードロと云いました。ビードロはポルトガル語ですから、鉄砲と同じく、ガラス細工もポルトガル人が日本に伝えたのでしょう。

そのガラス細工は、江戸で江戸切子として、鹿児島で薩摩切子として日本に根付きました。切子とは鑢(やすり)でガラスに切り込みを入れて模様をつけたものですが、西洋では柔らかく融けた状態のガラスを成形する技法が盛んです。

薩摩切子は薩摩藩の事業として御上が推奨したものですが、江戸切子は江戸町民が町民の需要に応えて製作したものです。明治になり薩摩藩の支援がなくなると薩摩切子の生産は途絶えましたが、民需に依存していた江戸切子は明治以降も生産されました。

江戸の民需と云いましても、ガラス工芸品や浮世絵などの高級な商品を買う人達の多くは、参勤交代で江戸詰をしている地方の大名やその家来達であり、彼らは故郷への土産に買っていたと思います。

薩摩切子が厚い色ガラスを重ね(色被せ)たガラスを用いのに対して、江戸切子は薄い色ガラスを重ねたガラスを用いたとのことです。それだけ江戸切子は薩摩切子より透明感があり、カットの美しさを表現できたと思います。

江戸切子は成形された固形のガラスに深い溝を彫って作られます。深い溝は光を屈折させて、ガラス容器を透明感のある色彩の衣裳で飾ります。

江戸切子を回しながら眺めると、光の屈折の角度によって濃淡が異なるのが分かります。その異なる濃淡を組合わせが複雑な模様となって輝きます。色彩とその透明度の変化が江戸切子の美なのです。

細く浅く広くカットを積み重ねると、光は乱反射してカットされたガラスの面は白く曇ります。光の乱反射が光の透過を抑えるからです。深く切った部分が大胆で明確な模様になるのに対して、細く浅く積み重ねて切ったガラスの部分は柔和で曖昧な模様になります。

ガラスの成形技法には、大きく分けて冷えた固形状態で加工するのと、熱い溶融状態で加工するのとがあります。ヨーロッパでは、固形状態のガラス工芸は教会建築のステンドグラスで発展しました。溶融状態のガラス工芸は主に吹きガラス技法を用いて、ヨーロッパ各地の民芸品として発展しました。

19世紀にエミール・ガレが色合わせの技法でアール・ヌーボ様式のガラス工芸品を発表してその繊細さ、精妙さを世にアピールしたとき、ガラス工芸品はこんなにも美しいのかと世界は驚きました。

江戸切子は、加工の技法こそ違いますが、エミール・ガレに劣らぬ繊細さ、精妙さを江戸時代に実現していました。その伝統工芸の江戸切子が、現代でも洗練された技法で実用的装飾品として製造されています。

写真は東京の墨田区錦糸町の江戸切子館で撮影したものです。
(以上)
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【2009/03/01 09:13】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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