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舞台写真の威力 写真展「永遠の越路吹雪」を見て
先月(10月)新宿のコニカミノルタプラザで松本徳彦氏の写真展「永遠の越路吹雪」が開催されていました。

ご存じの方も多いと思いますが、写真家松本氏は日本における舞台写真の第一人者です。戦前、戦後、新劇や新派劇に活躍した初代水谷八重子の舞台を撮影した写真集や、宝塚出身のシャンソン歌手にして舞台女優の越路吹雪の舞台を写した写真集は多くのファンに愛されました。

松本氏は、このような派手やかな舞台だけでなく、日生劇場や劇団四季の舞台をも撮影し続けている本格的な舞台写真家です。ですから舞台における演技者の決定的瞬間を捉える感性には素晴らしいものがあります。

評論家スーザン・ソンタグはその著「写真論」の中で「写真は時間の薄片であって流れではないから、動く映像より記憶に留められよう」と云っています。松本氏が切取った時間の薄片を見ると、どの一片も舞台で見た記憶が凝縮して思い出されるのです。

一般の撮影と違って舞台撮影には制約が多いです。
劇場は観客が一番大事にされる場所ですから撮影者の位置は限定されます。演技のストーリーは予想できますが、演技者は人間ですから何時も機械的に同じというわけにはいきません。その日のチャンスをミスすれば次の日に同じ表情の同じ演技が撮れる保証はありません。モデル撮影の場合のように巧く撮れなかったからもう一度演技してくれとは云えないのです。誠に厳しい条件の中での作業です。

写真展「永遠の越路吹雪」の会場に入って先ず感じたのは会場が立体的に見えたことです。会場の中程で部屋を仕切るように大きな写真が吊り下げてあり、そこには絶唱する越路吹雪がいました。その大きな写真は限られた展示場に奥行きを与えていました。さすが舞台写真家の展示場造りは一味違うものだと感じ入りました。

会場内には、松本氏が14年間撮り続けたという、歌い演技する越路吹雪の様々な姿態の写真が展示されていました。演奏会場のようにレイアウトされた数々の写真を見ていると、ここは正に歌う写真展であり、シャンソン好きのコーちゃんファンには堪らないと思いました。一枚一枚の写真が過去を現在に復活させる威力を見せつけます。

展示された最後の二枚の写真は、夫と並ぶ越路吹雪と普段着の越路吹雪でした。そこでは舞台とは違う穏やかで自然な表情がありました。これらは歌姫越路吹雪に対する写真家松本氏の敬愛の挨拶だと思いました。

舞台など写した経験のない私には掲げる写真は一枚もありません。偶々40年余り前にギリシャに行ったとき半円形劇場で古典劇を見たときの一枚を発見しましたのでここに掲げます。
(以上)


                         ギリシャ劇場-01N(海外:03.ギリシャ 66.7N)adbec


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【2008/11/03 13:55】 | 写真展 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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