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文明論からみた写真機 ダゲールとグーテンベルグ
活版印刷機を発明した人としてグーテンベルグは有名ですが、写真機の発明者としてのダゲールはそれ程有名ではありません。

15世紀の印刷機の発明は、羅針盤、火薬とともにルネサンス期の三大発明と言われ、当時の情報伝達に革命を起こしたと高く評価されました。しかし、19世紀の写真機の発明は、物珍しさの対象として興味をもたれましたが、印刷機ほどの文明的意義を強調されませんでした。

人間が受ける刺激の80%は目からの情報ですが、文字が発明される前までは、その80%はすべて映像の刺激でした。文字が発明されて以降でも人々が得る外部情報は映像が圧倒的に多いと考えられます。特に、昨今のテレビの普及で映像情報の重要性は益々高まっています。

写真機は、映像情報を素早く作成し、広く伝達する有力な手段です。映像は文字よりも遙かに多くの情報を含んでいます。情報の伝達において、写真機は印刷機より優れており、その文明的役割は遙かに大きいものがあります。

写真機の文明的働きは、大きく分けて次の三点にあります。
第一は、事実の記録、即ち物事を正確に把握する働きです。これが威力を発揮しているのは自然科学の分野であり、産業技術の分野です。宇宙の観測も、ミクロの分析も写真技術無くしては達成できませんでした。

第二に、記録の保存です。幕末に来日した西洋人達は日本と日本人について撮った写真を沢山残しています。彼らが撮影した目的は、単なる文化的興味だけではなく、極東の小島の情報収集にあったと思いますが、日本人には先祖達が生きた時代の風景と風俗の記録として文字情報では到底伝えられない誠に興味深いものを残してくれました。消え去る過去を記録に留めるのに写真ほど威力を発揮するものはありません。

過去に撮られた写真が現在に伝える情報の貴重さを考えると、写真は現在を将来に伝える重要性な手段であることに気付きます。将来に伝えたい、或いは伝えるに値する映像は何か、現在の写真家はそこに注目しなければなりません。第一が自然科学的というならば第二は社会科学的とでも言えるでしょう。

第三に、感性の表現です。近代写真の始祖マン・レイは、写真機を絵筆にして「美」を求めた芸術家と言われています。写真表現を「美」にだけ絞る必要はありませんが、人間の感情や情感を表現したい動物です。音楽、絵画、彫刻、建築などいずれを見ても、人間は心の働きを形に表現したい動物です。写真も例外ではなく、芸術的分野で写真は大きな働きをしています。

このように考えてくると、写真機の発明は現代文明になくてはならない貢献をしたと言えます。
(以上)
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【2008/06/14 23:17】 | 発見する | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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