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動きを捉える写真
角館-03P 98c

                                   新宿-01P 03tc


写真には動画と静止画があります。動画は動く実像を動くままに写した映像であり、静止画は動く実像の一時点を写した映像です。英語では前者を movie と言い、後者を still photo と言います。

発明され実用に供された順序は、ご存じのように静止画が先であり動画はその後です。動画の方は、連続する静止画像を高速で切替えて、目の残像現象により実像が動くように見せるのに対し、静止画の方は、逆に動く実像をある時点で止めた画像です。

両者の原理的違いとしては、動画には時間の経過が不可欠ですが、静止画には時間軸は不要です。そのことについて、宗教哲学者の中沢新一氏は次のように述べています。
「映画は遊牧民の精神であり、写真は狩猟民の精神である」と。

しかし、この中沢氏の面白い表現は、単に時間軸の有無を述べた以上に、静止画と言われる写真の本質を衝いています。写真家は動く獲物を狙う猟師のように、動く実像から決定的瞬間を探しているからです。

動きを捉えることは、なにも動画の専売特許ではありません。静止画も動きの一瞬を切落として捉えます。動画では残像は網膜から次々消えますが、静止画では動きは点の軌跡としてフィルムに残ります。その形は点ではなく、線です。

歌川広重の江戸百景「大はしあたけの夕立」には、黒い雲から橋の上に降る夕立を沢山の線で現しています。西欧印象派の画家は水滴を線で捉えた浮世絵に感嘆したと言います。

江戸時代の絵師たちは、still photo の目を持っていたのです。現代の still photo が捉えた雪と自動車の線を写真でお目に掛けます。
(以上)
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【2008/03/20 19:04】 | 写真論 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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