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雪吊は何故美しいか
旧古河庭園-24D 0712qc


冬が近づくと金沢市の兼六園では常緑樹に雪吊(ゆきつり)という仕掛けが施されます。仕掛けられた雪吊は、傘を半開きにした三角帽子の形です。ですから藁縄で編まれた雪吊を被せられた木は、恰もクリスマスツリーのように見えます。

丁度その頃はクリスマス・シーズンで、街中では同じく三角帽子形の針葉樹にクリスマス電球と短冊などを載せたクリスマスツリーを見かけます。そこで、ついつい比較してしまうのですが、無機質の飾りものを付けたクリスマスツリーよりも、藁工品の雪吊の方が樹木にマッチして美しいと思うのです。

それはともかく、雪吊は、水分を含んだ重い雪に木の枝が耐えるために作るものであって飾りではありません。しかしその装飾性はアートにまで高められています。何故そう感じるのでしょうか?

雪吊は三角帽子の形ですから、庭のどの位置から見ても三角形に見えます。また、雪吊そのものの絵柄も三角形です。頂点から等間隔で傘の裾に伸びる縄は、細長い三角形を形作るからです。雪吊は三角形のリズムで構成されています。

更に、庭に並ぶ幾つもの雪吊は、大きさは違っても皆三角形のリズムを維持します。そして雪吊は池に映ります。こうして雪吊は、池の中にも逆三角形の雪吊を描きます。かくして雪吊のある庭には、冬を迎えて三角形という形態の統一美に満ちるのです。

面を作るときも、立体を作るときも、最も少ない辺と面で構成されるのは三角形です。この単純さが雪吊の庭を美しく見せる秘密でもあります。樹木の形態は曲線ですが雪吊は直線です。樹木をアナログだとすれば雪吊はデジタルです。雪吊の単純なデジタルの直線が樹木の複雑なアナログの曲線と交わるとき、庭園全体がアートの作品に変ずるのです。

金沢では雪吊が冬の到来を告げる風物詩となっています。雪深い金沢の兼六園に訪ねる人々が多いのは、このアートを見たいからでしょう。しかし、そのアートは兼六園だけのものではありません。最近では雪の少ない東京の公園でも雪吊のアートは見られます。写真は旧古河庭園のものです。
(以上)
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【2007/12/21 12:10】 | デザインする | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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