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江戸城 濠の美 桜田濠
1.皇居の濠端:桜田濠-08D 1212q
写真1
2.皇居の濠端:桜田濠-27D 1504q
写真2
3.皇居の濠端:桜田濠-47D 1506q
写真3
4.菜の花-05P 96t
写真4
5.菜の花-01P 96t
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6.彼岸花-14P 96tc
写真6
7.彼岸花-01P 96t
写真7
8.雪:菜の花-02P 96t
写真8
9.雪:濠-05P 96t
写真9
10.雪:菜の花-01PAt
写真10

江戸城は、家康、秀忠、家光と三代に亘り築城が続けられた城でして、日本一の規模を誇ります。江戸城には日本三大名城と言われる、豊臣の大阪城、徳川の名古屋城、加藤の熊本城のような強固な石垣で築かれた城郭もなく、また姫路城のような美しい城郭もありません。

しかし、江戸城は武蔵野段丘が江戸湾に至る比較的平坦な地形の上に築かれた平城でしたから、その平城を防護するために長い濠が二重になって城郭を囲んでいます。そのため、江戸城には日本三大名城とは比較にならないほど多くの濠の遺跡が残されました。また、濠の数が多いだけでなく、地形の変化に富んでいるため、濠の建造方式も場所によって異なっており、一つとして同じ形態の濠はなく、個性的な濠が幾つもあります。

先ず最初に、江戸城で最も美しいと言われる桜田濠を取り上げます。
桜田濠は幅が広くて長い濠であり、それが湾曲して伸びているので一ヶ所から全貌を視界に収めることはできません。その代わり半蔵門から外桜田門の方向へ歩きながら桜田濠を見下ろすと、回転画を見るような雄大なパノラマ風景が展開します。内堀通りは桜田濠を左に巻き込むように下りますから、桜田濠の両岸のうねる曲線が、屈曲しながら近づいたり離れたりして、波打つように見えます。
(写真1、2)

江戸城の近くには石材の産地が少なかったので骨材の調達が難しく、少ない石垣を使って長大な濠を築くために、地形によって濠の擁壁の一部を土塁のままにせざるを得ませんでした。そのため桜田濠は擁壁の上部に低い石垣があるだけで、下部はなだらかな土塁のままです。そのことが桜田濠に穏やかで柔らかな美しさを与えています。
(写真3)

桜田濠の両側はなだらかな土塁の坂ですから、そこには樹木や草花が生えて、季節に応じて濠の景色に彩りを与えます。半蔵門から三宅坂の下までを歩くと、桜田濠の両岸の大きな緑の斜面が広がったり縮んだりして、季節の草花が咲いている風景が続きます。江戸時代もさることながら、現代の首都でも、このような景観を持つ都市は世界にありません。
(写真4、5、6、7)

戦前と戦後の日本に住んだ、フランスの詩人で画家のノエル・ヌエットは、その著書「東京のシルエット」で、半蔵門から桜田門にかけての一帯こそは、皇居のまわりで最も美しい風景が展開している場所である」と書いています。

しかも、桜田濠の冬景色は、その両岸の美しい曲線を截然と描き出します。偶々遅い春の雪に見舞われた桜田濠の菜の花はけなげにも雪の中で咲いていました。
(写真8、9、10)
(以上)
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【2016/02/23 21:03】 | 風景 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
江戸城 天守台の美 その三
1.石垣-22P 96
写真1
2.石垣-23P 96
写真2
3.石垣-12P 96
写真3
4.石垣-13P 96
写真4
5.石垣-33P 96
写真5
6.石垣-19P 90r
写真6
7.石垣-35P 96
写真7

現在の天守台には、最上段の隅に松の木が一本植えられており、天守台正面の中段の左側に桜の木が一本植えられております。戦後のある時期まで中段の右側にも木が一本植えてありました。

江戸時代に中段の左右に何の木が植えられていたか分かりませんが、現在のように天守閣のない石塁だけの天守台にとっては、中段の桜の木の存在は、天守台の堅さを和らげて、季節感を与える貴重な存在です。

最上段の松の木は常緑樹ですから季節による変化はありませんが、中段の一本の桜の木は、季節の変化に応じて天守台という舞台を演出してくれます。無言の石塁が一本の桜の木でお化粧直しをする様子を眺めて下さい。

桜のつぼみの膨らむ早春の頃、、石垣はやや霞む空気に包まれて、柔らかに見えます。(写真1)

満開の桜の花が満開になると、桜の花の白さで中段の暗い石積みは天守台の光景を引き締めます。(写真2)

桜の花が終わり桜の木に薄緑の葉が芽生えます。その薄緑色は石塁の堅さを和らげます。(写真3)

夏になると桜の葉は薄緑から濃緑に変わり上段の白い石垣を隠します。中段の暗い石積みは上段の濃い緑の塊と一体となって、天守台に重厚さ与えます。(写真4)

秋が来て桜の葉は桜紅葉に変わります。中段は派手やかさを取り戻して、石塁の白と黒に明るい調和を与えます。(写真5)

桜紅葉がすべて落ちて秋が深まると空気が白くなります。空気が白くなれば下段の白い石垣も上段の白い石垣も冴えてきます。(写真6)

冬に雪が降ると、下段と中段の上に積もった雪面は三層の石垣を截然と仕切って見せます。桜の幹に積もった雪も桜を浮かび上がらせます。雪の日は天守台が立体的に見える日です。(写真7)
(以上)
【2016/02/16 14:31】 | 風景 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
江戸城 天守台の美 その二
01.桔梗門(内桜田門)-12D 1507qc
写真1 桔梗門(内桜田門)を入ったところにある打込接の石垣
02.桔梗門(内桜田門)-13D 1507qc
写真2 上記の打込接石垣を拡大したもの
03.天守台-08D 1508q
写真3 北側(裏側)から(北桔橋から)見た天守台の石積みの姿。横目地が 一直線となるよう整然と摘まれている。二人の人物と比べた天守台の高さが分かる。
04.天守台:前面下段-18D 1510q
写真4 天守台前面の下段の石積み
05.天守台:前面中段-02D 1510qc
写真5 天守台前面の中段の石積み
06.天守台:前面下段-21D 1510qc
写真6 天守台前面の下段と中段の石積みの比較
07.天守台:前面下段-26D 1510q
写真7 天守台前面の下段と中段の石積みの比較
08.天守台:前面上段-02D 1510q
写真8 天守台前面の上段の石積み
09.天守台:前面上段-07D 1510q
写真9 天守台頂上への入り口通路を劃する上段の石積み 右側
10.天守台:前面上段-10D 1510qc
写真10 天守台頂上への入り口通路を劃する上段の石積み 左側 

天守台の美を語るとき、その全体の容姿が端正であり、重厚であると言うだけでなく、天守台の細部に宿る美についても、また季節で変わる美についても、注目したいものです。

先ず細部については、基本的な石垣の積み方なのですが、自然石をそのまま積む「野づら積み」と、自然石の大体の形を揃えて積み込む「打込接(うちこみはぎ)」と、更に石の側面を鑿(のみ)で平らに削り合わせて石を密着させる「切込接(きりこみはぎ)」という三通りの方法があります。

野づら積みは、自然石をそのまま積み、隙間に小石を詰めた石垣です。この石垣は、手足を掛ける隙間があって敵に登られ易い欠点がありますが、水捌けがよいので崩れにくく、築造にも手間が掛からないので、古い時代には小規模の築城で多く用いられました。

しかし戦国時代になってからは野ずら積みは余り用いられなくなり、防御に強い隙間のない石垣作りが主流となりました。そして堅固な防御が必要な天守台や櫓や濠の石垣には、切込接の石積みが採用され、それ以外の場所には打込接の石垣が用いらています。
(写真1)

前回の写真で見たように、天守台の石積みは全て切込接の石垣ですが、詳しくは切石整層積みと言い、個々の石の高さを水平に揃えて積み、横目地が 一直線になる積み方となっています。見た目には美しいですが、構造的には横揺れに弱いので、これは実用よりは美観を重視した石積みです。
(写真2)

江戸城の天守台の切込接の石垣は、下段には大きめの石を積み、中段には中ぐらいの石を積んでいます。下段には鼠色、薄黄色、白色の石を組み合わせ、中段は暗い色の石を多くして、所々に白い石を混ぜています。
(写真3、4)

下段の石組みと中段の石組みの組み合わせにも変化を持たせています。下段は色彩豊かな大柄の石積みに対して中段は落ち着いた中ぐらいの石積みで、安定感を感じさせます。全体として上品で洒落れたデザインです。
(写真5、6)

天守閣へ上がるには正面の石垣を見ながら上ることになりますので、正面にこのような装飾的な工夫を凝らしたのです。上段の石積みは、下段および中段よりかなり高さがあり、明るい白色で統一しています。正方形の石を横目地を合わせて整然と積み上げているのも、やはり美観を重視してるのです。
(写真7)

天守台頂上への入り口通路を劃する上段の石積みには大きな石を積み上げています。その大きな石は、右手には明るい色の石、左手には暗い色の石を使っています。下段の石積みと中段の石積みの色彩のリズムの変化を、左右の門構えの石積みに繰り返しています。
(写真8、9)

関東の武蔵野台地には産出する巨石は少なく、もしあったとしても陸路運ぶのは困難でしたから、大半は伊豆、箱根辺りから切り出して、小田原から海路、船で運ばせたと言います。箱根や伊豆の石は鼠色でしたから、色彩に変化を持たせるため、薄黄色の石は、瀬戸内海の小島で採掘した石をはるばる運んできたものと言われます。

後ほど紹介する夫々の御門の渡櫓門の門柱でも、色彩の違う石を混ぜて積んでいるものが幾つもありますので、頑丈一点張りの無骨な西欧や中国の城壁に比べて、江戸城の石垣は繊細な装飾性に富んでいることに驚かされます。
(以上)
【2016/02/07 20:48】 | 発見する | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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